大学時代の友人に誘われ最近のわたしたち夫婦は週末だけ木こりになったりする
生きている木を電動ノコギリで1本ずつ切っていく
1本1本思い出が詰まっている木をひとつひとつ重なった理由で切っていく
生きている木はとても力強くそれぞれ異なる香りを持ち硬さも違う
自然と向き合うことを教えてくれようとする友人と彼はわたしにノコギリを握らせる
わたしは木を切ることを楽しんでいるつもりが
彼と友人に木を切るわたしは突っ込まれた
ゆうちゃん、もう1歩足出して
そのコトバでいつのまにかへっぴり腰で木に向かっていた自分に気づかされ
ほんの少し情けない自分は恥ずかしげに笑う
そしてその瞬間、突然いろいろなことが頭をよぎった
わたしはいつからこんなに自分を守る人になっていたのだろうと
帰り道
クルマの中彼に伝える
いつから目を守らなきゃとか、何かを失うことにばかり気をとられる人になっていたのだと思う?
彼は言う
ゆうちゃん、それはインディアンの教えのような質問だね
インディアンはナイフを持つことを教えられたときにそのことを習うらしいよ
彼の目は笑っていた
わたしはその話を聞きながら
日々は守ることに目が行ってしまいがちだけど
生きることはきっと自然と失いながら得ていくことだ
週末木こりになれたわたしは木に小心者の自分に諭されながら、一日一日を楽しむことを知った