東京から持ち帰った野菜のバトンが彼のベランダで息づいている
一日中、太陽が照らしていたと思うと
夕暮れ時にはちょうどよく雨が降る
太陽と雨の追いかけっこ
そんな自然のチカラによって日に日にツルが延びたり花の色を知れることが
とても新鮮でとても大切に思える
そしてわたし達が手に入れた居場所に週末になると出かける
わたしたちはまだ草だらけのその場所で木の実を見つけた
木の実を彼がわたしの手のひらにまたポンと置く
わたしは大事に持って帰ろうとずっと指でつかみ歩く
なのにスーパーを出るときにお財布をしまおうとすると木の実の一部しかなくなっていた
彼が思いっきり笑う
ゆうちゃんらしい
道端でトカゲと出会っても落とさずもって歩けたのに
そして家で木の実の木の枝と残像でわたしたちはその実の名を知った
草イチゴ、わたしたちは来年からこの実でジャムを作ろう