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わたしは
毎日撮った写真を彼と共通のPCのdropboxに日々落としていく
彼への日々への手紙として、そしてわたしの記録
いつもは外国で彼がつけている家計簿を
ひとりのわたしは自分でつける
彼へに届ける日記のように
まったく知らない駅
まったく知らない街
思うように通じないコトバ
何台も手をあげても手を振られ通り過ぎていくタクシー
マンハッタンから少し離れたこの街をわたしはバスで移動することに決めた
わたしは大きな勇気と小さな声で
黒人の叔母さんに話しかけ住所を見せる
叔母さんは言う
大丈夫、このバスで行くわよ
バスの運転手さんに言いなさい、教えてくれるわ
わたしのメモには住所だけで行き先のバスストップの名前はない
住所に書かれた通りはとても長くて番地までバスの運転手は把握していないという
いくら頼んでもコトバは一方通行で怒られている気がした
そんなわたしに叔母さんとおばさんと一緒にいた女の子が手招きをする
わたしたちが番地を見て教えてあげるから安心しなさい
叔母さんの鼻歌だけがバスに響き渡る
やさしくてわたしまでも口ずさむ
冷たく思えたバスの運転手さんがMSとわたしを呼ぶ
ひとつずつの過ぎさる番地を見つめながらここで降りなさいと彼は教えてくれる
彼にお礼を伝え握手をする
そして叔母さんと女の子を振り向くと笑顔で送ってくれていた
不安と一緒にバスストップで降りたわたしは番地を見つけようとする
すると叔母さんと相談していたかわいい女の子が声がする
わたしの家はこのあたりだから住所まで連れて行ってあげる
彼女の名前はステファニー
海の見える目的地に着いたらうれしくて
彼女にたくさんのお礼とハグをして別れを告げた
わたしは自分の世界がどれだけ小さかったか日々知っていく
そして人のやさしさを知る
NY 6:41a.m.
パトカーのサイレンが鳴り響く
まだ鳥たちは朝を告げない
窓越しの青いカーテンは青く透ける
きょうはどうやって過ごそうか
ほんの少し青いカーテンの奥を見つめた
朝方のキッチンはとてもきれいに見える
けれど朝焼けが見えない、ここからは
何時に太陽が昇るんだろうと最近この時間になるといつも思う
いつからがNYの朝なんだろうと
今度この街のはじまりを見つけに行こう
彼と14日後の待ち合わせの約束をして
駅まで送ってくれた彼のクルマが見えなくなるまで手を振った
15時間後3年ぶりに会う妹の笑顔が見れた
気が抜けたら世界がきれいに見えはじめ
写真ノイローゼが治ったみたいに思えた
そして何もかも穏やかにすすむ時間のなか
あなたが隣にいない夜の街だけが寂しく見えた
14日後に会いましょう、楽しみにしています
電話口から響く彼の声を聞くと
自転車に乗っているせいか
アイロンをかけてないしわくちゃなシャツの声がした
シャツはぴっしりとしているはずの彼に言う
しわくちゃなシャツの声がする
そうすると変な言いまわしだと彼が笑う
彼につられて思いっきり朝から笑った
今日の夕暮れはきっときれいだ
彼がさりげなく言う
亀三郎も少しずつ動き出した音がするでしょう
木の芽も出てきたでしょう
彼なりのはげましだろう
この日々を忘れないでいよう