歩きながら会社に向かう彼から電話があった
ゆうちゃん、きょうもカタツムリでいっぱいだ
これは見に来るべきだよ
全部できょうは9匹だ
わたしはこのコトバを聞いて
服を着替え
雨にぬれていいようにビーチサンダルで完全防備する
さっそうと、ざあざあ雨の降る家の外に足を踏み出した
何か目標があると足取りは軽い
カタツムリは決してかわいいというコトバでは片付けられない生き物だ
かわいいけれど、ぬめぬめしていそうで怖い
わたしは歩きながら考え続けた
亀三郎には日光浴が必要で
カタツムリには水浴びが必要
きっとあのぬめぬめとしたカラダでいるために水分が必要なの?
彼がいるといっていた場所にカタツムリはいた
1,2,3,4、・・・・・9
全部で9匹いる
梅雨の終わりとともに見られなくなるであろうカタツムリに
乾燥しないようにお元気で
また、雨の日にね
と、別れを告げた
夜10時すぎ帰ってきた彼が聞く
カタツムリどうだった?
わたしが9匹いたよって答えると
おんなじ子たちだねって疲れながらも満足げに微笑む彼がいる